T-34戦車とその時代―「第2次世界大戦最良の戦車」はいかに生まれ、どのように語られてきたか

ssk-nom

2,200円(税込2,420円)

「父親は国民、母親は残念ながら戦争だった」。第二次世界大戦最良とも評されるソ連の「国民的戦車」T-34。本書は「時代を超えた天才技師」や「無能な軍人たちによる妨害」といった史実に基づかない俗説を排し、戦車開発というユニークな視点からスターリン統治下におけるソヴィエト史の一断面に光を当て、加えて日本における「ソ連の語られ方」にも再考を促す。

B6判332ページ

誰もが知るソ連の名戦車T-34。しかしこの戦車の来歴を語る日本の言説には、事実に基づかない虚説が入り乱れており、甚だしきに至ってはソ連時代の小説の内容を「ソ連崩壊後に明らかになった新事実」であるかのように語るものまで存在しています。

この名戦車の「産みの親」とされるコーシキン技師は、なぜ実情以上の天才として称揚されているのか? この戦車の開発に大きな役割を果たした軍人が、「開発の妨害者」として語り継がれているのはなぜなのか? 「名戦車伝説」の語り部を務めているのが、ソ連人たちではなくドイツ人たちであるのはなぜなのか? これまでのT-34開発史には全く登場してこなかった謎の人物アドリフ・ジークとは?

本書では歴史学の学問的訓練を受けた著者らが、ロシアにおける研究を十分に咀嚼し、かつ出典を明らかにしながら、虚説や俗説を排したこの名戦車の実像に迫ります。

さらにT-34という魅力的な素材にさまざまな方向から光を当てることで、ソ連の工業化、労働文化、社会のありよう、大テロルの恐怖、軍と工業界の関係、技術者たちの役割、兵器を評価することの難しさ、戦史における語られ方の問題など、多くの論点を引き出し、スターリン時代のソ連における社会と国家の一端を明らかにしています。

単なる「兵器開発史」の枠に収まらない、ソ連史を考えるうえでの示唆に富んだ1冊です。

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